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読売新聞「人生案内」で人気の精神科医 野村総一郎先生のご本です。老子のお話は野村先生の患者さんにもとても響くそうで。今回は老子のお話を元にした、弱ってしまった気持ちに寄り添ったアドバイス盛りだくさんのご本です。
●そもそも孔子と老子の区別がついていない方も多いかと思いますが、考え方は正反対の二人です。「上り坂の儒家、下り坂の老荘」と言いまして、上り坂でイケイケどんどんの調子の時には孔子の教え、しかし、あまり元気でもなく行き詰まっている方には老子(&荘子)の教えがマッチします。
老子は、世の中の「よい、悪い」「偉い、偉くない」「すごい、すごくない」というジャッジすること自体がおかしいよと仰っています。まるで白黒つけない「禅」のようですね。他人と比べて「勝った」「負けた」と右往左往する必要もないです。
『他人に勝つことよりずっと難しいのは、自分に勝つことです。
自分の弱さを見つめ、自分の置かれた状況を知り、それに不満を持たない、欲を出さない。これができるのが、真の強さであると老子は説いています。』(P38より引用)
「社会では他人に勝たないと」と言っても、野村先生は「あなたは、そこに参加しますか?」と問われていました。その勝ち負けという概念自体、あやしいですよ、と。それこそ、まず、自分に軸を戻してみましょう。
●イラッと怒りがわいたら「スプーンの思考」というのがステキです。フォークとナイフは置いておいて、(スプーンとして)相手を丸ごとすくいましょうということです。
『「腹の立っている相手に、優しくするなんてありえない!」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。でも、ただ単に優しくするわけではありません。相手よりも大きな存在になって、相手を自分のスプーンの上にのせる。言ってみれば、手のひらで躍らせる、といったイメージでしょうか。』(P60より引用)
「勝ち負け思考」の方にしたら、これはよっぽど「勝ち」な振る舞いですよ♪
●ジャッジフリーでいきましょうと本書では野村先生が何回も仰って下さっています。大事なとこです。「善悪の振り分け」にしても、「これが正義だ!」と正義を振りかざしている人が善なのか??というと、それはその人のものさしであって、厳密な境界って、我々凡夫にはわかりません。
『すべては相対的なものであり、「どっちが正しくて、どっちが間違っている」というジャッジそのものをしない。それこそ、本書で述べている老子のスタンスです。』(P117より引用)
人間ですから、ついつい色をつけて自分の価値観でジャッジしてしまいます。ジャッジをしないということを心がけていると、世界が少し変わってみえます。この少しが大きい。
●『反応しない練習』というご本を以前紹介しました。こういう反応ならアリですよ♪
『嫌なことをされたときほど、「ここは器の違いを見せてやる」という気持ちをベースに「反応」できれば、こっちのものです。』(P122より引用)
台湾の初代総統の蒋介石(しょうかいせき)が、日本からの戦災保証金を、老子の言葉を用いて受け取りを断りました。
「恨みに報いるのは、徳を以てす」
なんという器の大きさでしょう。鍵山秀三郎さんのご本の紹介でも「攀念智を持たない」という所を載せましたが、自分もそうありたいです。
■あめ的回答■
本文やイラストは、とても柔らかい印象のご本ですが、とても本質をとらえたご本です。
『やわらかく弱いことは、生きているという証明でもあります。
どちらがいい、悪いではなく、すべては相対的なものなのです。
(中略)
強さが必要な場面では、強い人に活躍してもらえばいいじゃないですか。それだけの話です。』(P229より引用)
野村先生曰く、むしろ弱いほうが、しぶとく生きられるそうです。あなたはライオンになる必要もないし、サメになろうとしなくてもいい。あなたはあなたのままでだいじょうぶという勇気をもらえた一冊です。
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