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高齢者専門の精神科医 和田秀樹先生のご本です。サブタイトルにもあるのですが、和田先生は「品ある老人」「賢い老人」「おもしろい老人」になりたいそうです。「何を得たいかより、どう生きたいか」もテーマになっています。
●今は日本人の平均寿命は男性が81歳、女性が87歳を超えています。これは平均なので、事故で亡くなる子供も入っているので、事故もなく100歳を超えている人も大勢いらっしゃいます。
『老いと闘えるあいだは、闘ったほうがいいと思います。まだ十分に闘える時期なのにそうしないと、年齢以上にずっと老け込んでしまいます。定年後に何もしない生活をしていると、60代でも歩行がよろよろしたり、すっかり老人そのものの顔つきになったりする人もいます。』(P28より引用)
寿命が70歳ぐらいだった時代ならそれでもよかったらしいのですが、長寿の時代、長い年月をヨボヨボで過ごさなければいけないのはつらいですね。和田先生は、できる限り毎日散歩を楽しみましょうと仰っています。
●前に、実業家の斎藤一人さんが「ボケるのは神の愛だよ」と仰っていた話を、あめちゃんはしばしば引用していますが、これは単にスピリチュアル話ではありません。
『かつて、前衛芸術家で作家の赤瀬川原平さんが、ベストセラーとなった『老人力』(筑摩書房)という本で書いていたように、「物忘れが多くなった」のは「忘れる力がついてきた」ともいえます。嫌なことを忘れることができる、嫌なことをそうとは認識しなくなるのは、生きやすくなるための生物的な適応現象である可能性もあります。』(P55より引用)
和田先生が仰るには、認知症が重くなるほどに、にこやかにしている人が多い印象があるそうです。きっと、いらない執着もとれていって、ご本人は、とても軽くなられているんだろうなぁと思いました。
『認知症になると、何も判断ができなくなると思われがちですが、認知症が相当進んだ人でも、車が近づいてくれば危険を感知して避けます。そうした「怖いものを怖いと思う感覚」は、かなり最後まで残るのです。』(P56より引用)
むしろ安全策をとる行動をするそうです。100円の物を買う時も、とりあえず1000円札を出して、「大は小を兼ねる」対応をして、結果、財布が小銭だらけになるそうです。相手が誰だかわからなくなっても、無用なトラブルを招かないように、誰にでも(子供にでも)丁寧な敬語を使って安全策をとっているのです。だから、物腰の柔らかい老人になるそうです。
●こちらは、高齢者に限らず、誰でも心得ておいた方が良いお話です。
『人生経験を積んだすてきな高齢者は、自分の意見にあまり固執しません。長く生きていると、「こう思っていたけど、じつは違っていた」ということを何度も経験しているので、世の中にただ一つの正解といえるものはそうそうなく、いろいろなパターンがありうることを体感的に知っているからです。自説にこだわる人は、自分のモノサシだけでしかものを見ないので、「じつは違っていた」ということがあっても、違っていたことにさえ気づかないのです。』(P150より引用)
あめちゃんは、「時代も状況も、人間も信念も、コロコロ変わるのが当たり前です。」という文言に最近よく出会うのですが(シンクロニシティですね)失敗からも当然学ぶし、和田先生は「人生が実験」だとも仰っています。(※実験と博打(ばくち)は違います。失敗は何回してもいいですが、再起不能になる博打はダメです)
■あめ的回答■
『高齢になってから必要なのは、どうしたら人に頼らなくてすむかを考えることではなく、人に頼るかわりに自分は何ができるかを考えることです。』(P198より引用)
迷惑をかけないように意地を張るのはかえってみっともないと和田先生は仰っています。年をとったら勝手ににこやかになるのではなくて、それはご本人の努力や気づきや経験などがあってこそです。だから、なんにもしていない人の老後は、ご本人にはかなり悲惨なことになるということです。自分のこと、ほったらかしにしないでくださいね。
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