『正義の味方が苦手です』古市憲寿
『正義の味方が苦手です』古市憲寿

『正義の味方が苦手です』古市憲寿

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正義の味方が苦手です(新潮新書)【電子書籍】[ 古市憲寿 ]
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古市憲寿さんによるエッセイっぽい短編コラム集で、中身のジャンルは色々です。「いらない正義感は本当にいらない」的なお話なのかしら?と思って購入したのですが、すっごく幅広い意味でそういった感じの内容ではあります。例えば、

『しかし生活に関わる全てに当事者意識を持っていたら、あまりにも疲れてしまう。「この国ではそうなんだな」と余所者として暮らしていた方が、リラックスして日々を送れる。』(P158より引用)

というのは、いらない正義感は本当にいらないに近い意味だとは思います。正義感で周りを敵だらけにしてもしんどいだけ。かといって、正義を振りかざして敵を作っている人を裁くというお話ではありませんよ。正義振りかざすのやめたら、もーっと楽に生きられるよと言った方がいい感じですよ。素敵な生き方をするためにも。

自分の知人で、やたら正義振りかざす人いるんだけど、めんどくさくて困る。

呑気でいるって、なんか悪いことでしょうか?

正義感振りかざすひとって、やたら攻撃的じゃないですか?

という疑問などをお持ちの方はもちろんのこと、「正しさ」では解決できない現実との向き合い方を教えてくださる……というか、正しさよりも素敵なことに気づかせていただけるこのご本をご一読ください。

あめちゃんが、ステキだなぁと思ったお話が、秋元康さんが「1行日記」をすすめていらっしゃるエピソードです。本当になんでもいいので「〇〇さんと〇〇で会った」とか「〇〇を読んだ」とか手帳にメモでもいいので書くのです。それで、続けているうちに、何も書くことがない日が出てきます。それでですね…

『一行日記のミソはここにある。本当だったら何もないまま終わるはずの日でも、日記をつけるために映画を観たり、本を読んだりしようと思えるのだ。結果、振り返った時に、365日が「何か」の日になる。』(P142より引用)

自分にとっての幸せを理解することにもつながるのですが、何が大切か、幸せへのゴール設定をしている人って自分軸がちゃんとあるからブレませんよね。

も一つ、ステキだなぁと思ったお話が、蒼井優さんがご結婚されたときのエピソードです。

『『誰を好きか』より『誰といるときの自分が好きか』が重要』(P200より引用)

と、おっしゃったそうなのですが、古市さんは『自分』の状態を起点に考えた方がいいということで蒼井さんのお話を引用されていました。相手に合わせてしんどくなって…自分らしくもなくなったらむしろ不幸すぎますよね。

さらにもう一つ、ステキな台詞。

『歴史を振り返る限り、優れた物語の寿命は国家よりも往々にして長いからだ。』(P166 より引用)

これはすごく救いですよ。良書は国家が滅んでも消えたりしません。ずっと残り続けます。

■あめ的回答■

『正義の味方が苦手です』ってアンチじみたタイトルですが、中身は『ステキ』であふれていた愛のあるご本でした。じつは『いらない正義感はほんとうにいらない』という台詞は、あめちゃんの知人がポロリといった言葉なんです……。

TVをその知人と観ていたときに、『正義を振りかざして他人に注意をしたら、ボコボコにされて病院おくりになったひと』が出ていた時に発した台詞です。古市さんも

『「何が何でも許さない」という正義感の行き着く先は、究極的には殺人である。』(P96より引用)

と、おっしゃってはいますが、あめちゃんはそもそも人間ごときが自分基準で正義をふりかざしていいわけはないよなぁとすら思ってしまいます。正義なんかより、世の中、「ステキなこと」いっぱいありますからね。

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